もろもろ

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グローバル時代の生き残り戦略

弊社社長 シュピンドラー千恵子の執筆により、
オートメレビューオフィシャルサイト「安全工学講座」に連載中です。

36) 企業リスクマネジメント 第26話〜やりすぎた経営者〜

 それにしても「介護保険ドロボー」、「帝国破綻」、「拝金主義将軍」等と連日叩かれているコムスンの折口氏。金に群がり同氏になついていた女性達からまでも、多額の金品を投資していたにもかかわらず、今となっては「関係ありません」の冷たい一言、カネの切れ目が縁切れ目、なんとも情けない将軍様である。

 彼は、事業を営む資産家の息子だったが父の事業が倒産し、一気に生活保護を受ける程貧しい生活に陥った。大学卒業後、自分にはビジネスセンスがあると確信、大型ディスコを次々にプロデュースし大成功を収めた後、1995年にグットウィルを創立した。資本金1000万円、従業員4人で始めた会社は、公的介護保険導入を見越して97年にコムスンを買収、4年後には上場し、わずか12年で巨大な組織へと変貌していった。一代で巨額の富を築いた折口氏の経営手腕は、天性のビジネスセンスと時流を掴みとる能力、そして「金持ちになるぞ」という執念の賜物で、ゼロからここまで作り上げたこと自体は凄いことある。ただ、会社が大きくなればなるほど私利私欲に加速がかかり、会社を私物化して、自分の金儲けに走ってしまったということ、そして「日本経団連の理事」というベンチャー企業には、相当魅力的な“お墨付き”をもらったことでのぼせてしまったことが敗因であろうと考察する。

 もちろん不正行為が発覚したから全て明るみになったわけだが、そもそも医療や介護を必要とするお年寄りに対し、彼らの健康と命を守るための事業でぼろ儲けしようという考え方では必ず行き詰る。文明追及のIT 産業、研究開発を繰り返すものづくり産業といった他業種とは少々異なり、日本の社会的問題である高齢化社会において、人を相手に家族に代わってケアを施すサービスは、医療産業と同様に社会的意義及び必要性が強いものであり、そこには人に対する愛情や使命感、社会的責任が伴っていなければ成り立たない事業なのである。人を預かる仕事故に、会社の都合により途中でサービスを中断することもできないし、品質の高いサービスを継続的に一人ひとりに提供しなければならない責任の重い事業なのに、物売りのように仕入れ値(ヘルパーの賃金)をたたき、一方では社員にノルマを持たせ売り上げをあげていくやり方はあまりにも危険である。

 ヘルパーのほとんどは、パート社員で時給1000円位なのに対し、国から事業者に支払われる介護報酬は、洗濯や掃除といった簡単な生活援助では2000円、食事や排泄の世話など身体介護に対しては4000円が支給される。つまり、事業者としては「身体介護」のような重労働仕事を受注すれば粗利益が75%となりぼろ儲けできるのである。“お客様”を派手な広告や従業員に対する強制ノルマ達成で確保していくものの、サービス提供に対応できる人材が追いつかない。つまり、サービスの品質を度外視した展開であり、サービスの元となる従業員の確保や教育がなされないまま、お年寄りをお預かりしていた形になる。

 当時の厚生省が、介護事業に進出する事業者を増やす目的で訪問介護の報酬単価を1時間4020円と決めた時、「介護は必ず儲かる」として介護をビジネスの視点でしかとらえなかったことが、そもそも間違いであり、拝金主義の経営者には不向きの産業分野であったと思う。芸能人と豪遊したり、プライベートジェット機を飛ばしたりする資金があるなら、その半分でも会社や社員に還元していれば、サービスの品質や周囲の評価も違ったはず。あの手この手で儲けを追及したところで、違法行為ですべてが水の泡となった。そういえば、先頃業務停止命令を受けたNOVAの社長もひそかに社員に猿ジョンイルと呼ばれていたという絶対的経営者だ。この2人の手法も結果も似ているように思える。コンプライアンスの乏しい経営者のもとでは、必ずといっていいほど会社は破綻することを学ぶ今日である。

(筆者=ナノテックシュピンドラー株式会社 社長・シュピンドラー千恵子)

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