もろもろ

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グローバル時代の生き残り戦略

弊社社長 シュピンドラー千恵子の執筆により、
オートメレビューオフィシャルサイト「安全工学講座」に連載中です。

34) 企業リスクマネジメント 第24話~その申告、正しいか?~

 新芽が息吹く4月、入園式、入学式、入社式と新しい1年を迎える季節である。日本中の学校や官庁及び企業が人事異動を済ませ、新しい立場になったそれぞれが心新たに物事を始めるいい季節だ。また、多くの企業が3月決算を終え、1年間の締めくくりの報告と反省、税務署への申告準備をする時期でもある。企業は倒産しない限り永遠に決算を迎え、業績が良くても悪くても結果数字に敏感に対応しながら来期につないでいく。会社経営はまったく終わりなき戦いである。

 先日、署名な噺家が祝儀の一部を申告していなかったとして、東京国税局から3年間で約1億2000万円の申告漏れを指摘された。重加算税を含めた追徴税額は4000万円を超えるという。申告漏れといえばまだ聞こえはいいが、結果的には脱税である。ただ、芸人・古典落語家の文化では、お金に対して大まかで、あまりお金にうるさいと芸が腐るといった雰囲気を持っているらしく、先代からビジネス上の常識に乏しかったということが、ご本人のコメントやメディア報道からも窺える。悪徳ではなく単に無知が故に引き起こしてしまった申告漏れであったと思われる。しかし永年それで飯を食べてきた商売人として、そんな常識もなかったことがお粗末過ぎる。常日頃からの”社長(噺家) ”の金遣いの荒さ、レストランやクラブでの羽振りの良さが目に留まっていた上に、襲名披露という一大イベントに伴う派手なパーティ、全国各地で開かれた70回を超える興行をこなす等、明らかに莫大な収入の匂いがしたので、国税局から「狙い撃ち」されたのである。話題性のある優秀”企業”であったのだから、税務調査に入られるのは必至であり、無防備過ぎてあまりにも脇が甘かったと言わざるを得ない。今回の所得隠し騒励で、せっかく襲名した噺家の名に傷がついてしまったことは4000万円以上の打撃であったことはいうまでもない。

 さて、この課税対象となった襲名披露祝儀だが、一般企業においては、創立記念や○○周年記念パーティー、○○受賞、社屋竣工パーティー等でもらう祝儀が対象となる。噺家はともかくとして、企業において「知らなかった」「忘れていた」ではとても済まされないのに、巨額の収入の申告漏れ、あるいは脱税の摘発が後を絶たない。企業においてほとんどの場合は顧問税理土、会計士が会計指導をし、会計原則に基づいた決算報告及び税務申告であるわけだから、プロによる節税対策が行き過ぎたのか、経営者が会計士にも所得を隠していたか、あるいは組織ぐるみの犯行かのどれかである。特に、企業が子会社や関連会社を持っている場合、そして経営陣が複数社の経営を兼任している場合、グループに赤字会社がある場合などが利益操作が行われやすいと税務署は読んでいる。たとえ名目上おかしくなくても、金額の妥当性が問題になることもある。例えば金額の大きい外注費、コンサルテーション費といった目に見えないサービス、専門家の人件費などがある。その他、期をまたがって行われた仕事の収支、グループ企業同士の売買などは着目されやすい。

 なお、税務署にとって最も信頼性の高い情報源は内部告発によるものであり、悪いことをしている会社の一番の急所となる。経営陣でなくともせめて管理者は、かかる経費の内容と金額の妥当性を常に意識し、不当に請求されていないかどうか、明細の提示を求めるなどして確認すべきである。単に経費を抑えるという意味だけでなく、意図的に経費を多くして利益繰作をしたと問われないためだ。

 特に昨年大きな動きのあった企業は、よからぬ疑いをかけられないような万全な節税対策をし、一時の所得隠しより会社の看板を守るために正しい申告をするべきである。決算書の数字とキャッシュフローは別物であり、セーブレたい気持ちは経営者誰しも同じだが、法令遵守と企業名誉を守ることを何よりも優先しなければならない。

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