30) 企業リスクマネジメント 第20話 ~いじめについて~
先日子供が伊吹文吉隅学大臣から手紙をもらった。学校経由で届いた手紙は「文部科学大臣からのお願い」“未来ある君たちへ" と題し、弱い、立場の友達をいじめるのははずかしいこと、ひきょうなこと。いじめられて苦しんでいる君は決してひとりぼっちじゃない。一人で苦しまず話す勇気をもて。きっとみんなが助けてくれる。といった内容で、いじめを苦にした子供からの自殺宣言が、大臣宛にあった1週間後のことであった。他国では聞いたことのない話、ありえないであろうこの手紙、私の目に日本は不思議な国に映った。
さて、今年1 0 月末に施行された自殺対策基本法とは、自殺列島ニッポンの現実を踏まえ、国、地方公共団体等の責務を明らかにし、自殺対策の基本理念を定め、自殺対策を総合的に推進して、自殺の防止および自殺者の親族等に対する支援の充実を図り、国民が建康で生きがいを持って暮らすことのできる社会の実現を目的とする法律だ。
7年連続年間3万人の自殺者を出す日本。自殺率はアメリカの2倍、イギリスの3倍と先進国でダントツトップであり、交通事故死者数の4倍以上である。このような現状を7年間以上続けているにもかかわらす、自殺対策予算は交通安全対策予算の1700分の1ときている。それは国が自殺という行為を個人的な問題ととらえ、軽視してきたからである。しかしながら、次々に幼い尊い命が絶たれる群発自殺現象は、決して個人的な問題ではない。自殺系サイト等のIT情報が氾濫する現代環境、組織(学校や職場)や管理者(先生、上司) のあり方といったその背景に潜む様々な社会的な要因があることを鑑み、自殺対策は社会的な問題として取り組まなければならない。今回の立法では、これが第1番目の基本理念になっている。国、自治体、事業主、国民の自殺対策への責務を明らかにし、それぞれが自殺対策に取り組む民間団体などと連携しなければならない。これにより、2015年には自殺者を5000人減らすことを目標にしている。国も地方自治体も事業主も国民も、みな当事者となり責務を負うことになっている。
自殺のほとんどの理由は「いじめ」であり、いじめは既に幼稚園・保育園社会から、玩具の奪い合い、砂場の領域争いといったことから始まるという。小、中、高、大学といじめは年代に応じて形を変え、主に利己主義、自己愛主義者が加害者となって大人社会に顕在する。会社内においては、パワーハラスメント(欧米ではモラルハラスメントという) があげられる。これは職権などのパワーを背景に、継続的に人格と尊厳を傷つける言動を行い、就労者の働く環境を悪化させ雇用不安をもたらす行為で、一般的には、役職など上層の者が下層の者に対して、その地位を利用して嫌がらせをすることと考えられている。専門力を利用すれば、部下から上司、あるいは同僚から同僚へ、年上の後輩から年下の先輩へ、年上の同僚から年下の同僚へも起こりうる。女性の社会的地位向上により女性の上司による男性の部下にパワーハラスメントも増加にある。解雇の頁可能性をちらつかせることで部下を自分に従わせようとしたしり、ちょっとしたミスでも容赦ない叱責、暴行、無視、冷遇、時間外労働の強制、言葉や態度による暴力、現場、職場から強制送還、部下を一方的に疑ったり、怒鳴ったしり、退職、転職、性的強要等など様々だ。 意見の押し付け、八つ当たりもいけない。これらが原因で社会人が自殺に追い込まれたケースも少なくない。社会集団において誰しもが、加害者にも被害者にもなりうる。八つ当たりごときでくじけるなといいたいところであろうが、皆それぞれ違う人格、特に上位に立つものこそ人を自分のものさしで量ってはいけない。職位や立場を超えて一緒に解決していく姿勢を持つ、そんな人間でありたいと思う。