掲載記事はナノテックシュピンドラー社長 シュピンドラー千恵子の執筆により、
オートメレビューオフィシャルサイト「安全工学講座」に連載中です。
19) 企業リスクマネジメント
第9話 〜組織を強くするコミュニケーション能力を持て〜
最近の小学生は、友達の作り方、かかわり方を知らないと言われている。コンピュータゲームが浸透定着している今日において、ゲームを介し、言い換えればケーブルを介してコミュニケーションを図っている。そういったデジタルな社会の中で育っていく今時の子供達は、友達になりたい時、対象の子に対し、嫌がらせをするか、アメを配るといった方法で気をひこうとするらしい。
しかし、嫌がらせや攻撃が友達を作る結果にはなっておらず、それどころか間違ったコミュニケーションの取り方が、相手との距離を置き、嫌悪感を与え、希望しない結果を導いている。アメを配る行為がコミュニケーション上悪いとは言わないが、何の意思の疎通もない状態においてのモノで気を引くという行為は、真の友達作りには貢献しないだろう。
コミュニケーションの取り方如何によって期待する結果に影響を及ぼすのは、企業においても同じである。
隣の席にいる同僚にメールで用件を送るという行為は、まさにゲーム機を介した今時の子供のコミュニケーション方法とそっくりである。「メールを送っといたから」という言葉がかけられるのであれば、その時に用件を伝えることができる内容も沢山ある。メールは、自分の都合やタイミングで送返信でき、面倒臭い相手と会話をしなくても済むという利便性がある。
しかしながら、一方では「人」としての接触を薄くし、人間的なかかわりの欠如から、ともすれば誤解を生じてしまうデミリットもある。真っ白な新卒社員を手塩にかけて教育した場合は別としても、人を即戦力で活かそうとする昨今のご時世においては、そのスキルや経験を金で買う企業側と、売った従業員側との間で常にコミュニケーションをとっておかないと、帰属意識のないワンマンプレーヤーを作ってしまう可能性がある。
会社側は社員に対し、愛社精神を持って我が社のために働いてほしいと願うのは当たり前であるが、そもそも帰属意識、愛社精神が薄い人にその意識を持てと強要することがコミュニケーションなくして無理な話なのである。会社組織は様々であり、画一的な理論を展開しても、その組織に適用するとは限らない。部課が少人数組織体であったり、また、社会的経験の薄い若い上司がリーダーであったり、経験者が部下だったり、スキルを持つ人材が複数いなかったりすると単純なコントロールでは上手くいかない場合が多い。
数字を挙げるために叱咤激励しながらコントロールしていければよいのだが、叱咤ばかりやっていると、部下が萎えたり開き直ったりする。褒めて伸ばすという方法もある。この度、日本一になった千葉ロッテマリーンズのバレンタイン監督は“褒め殺し”で選手を伸ばし、監督でありながら積極的にプレーに参加するやり方でチームをまとめ、最大級の成果をもたらしている。監督が25人の選手のリーダーであると考えると、ちょうど中小企業会社の部課長クラスであり、それゆえ彼の選手達とのコミュニケーション能力は企業組織においても参考になると思う。
部下になめられまいと縦を意識するばかりに、正しいコミュニケーションをとらずして裸の王様になっている上司が世の中には沢山いる。叱咤も必要、褒めることもバランスよく必要である。また、女子社員、若手、ベテラン等それぞれの視点が異なるので、リーダーは自分のモノサシで部下を評価してはいけない。
組織を統率するやり方は多様だが、根本は、上司たるもの部下から尊敬される人物であることが大前提である。リーダーは、強い組織体の形成に励みつつも、まず自分が人として尊敬されるような人物になる努力や姿勢も忘れてはいけない。
(05年11月30日掲載記事)
